平成28年度 山本第三病院 指標
- 目次 -
- 1. 年齢階級別退院患者数
- 2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 5. 脳梗塞のICD10別患者数等
- 6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数
・10歳代から入院されていますが、70歳以上の方が多く、これらの方で全体の約7割を占めています。
一番多い年代は80歳代で全体の30.4%となり、次いで多いのが70歳代で全体の27.6%となっています。
これらは地域の高齢化社会を反映しているものと考えられます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
・誤嚥性肺炎が一番多い疾患となっています。
高齢の患者様で、嚥下の悪い方が誤嚥をして発症するのが誤嚥性肺炎です。
当院では誤嚥性肺炎の再発の予防の為、嚥下機能訓練を積極的に行っています。
・2番目に多い疾患が体液量減少症となっています。体液量減少症は脱水症のことです。
高齢の方は季節に関係なく脱水症になることがあるので、十分な水分摂取が必要です。
・3番目の腎臓または尿路の感染症は、腎臓などに細菌が感染する急性腎盂腎炎の方が多く、高齢の方に多い疾患です。
・4番目の心不全は狭心症、心筋梗塞、高血圧、糖尿病などによる心臓の機能低下により、引き起こされるものです。
・5番目のウイルス性腸炎も多くなっています。全国的にもノロウイルスやロタウイルス等による食中毒は増えており、問題になっています。
・平均在院日数は全国平均より長くなっておりますが、当院は高齢の方が多く、 誤嚥性肺炎や尿路の感染症などは再発が多くなり、入院期間も長くなる傾向にあります。
外科
・外科では直腸の悪性腫瘍の患者様が多くなっています。
1番目と4番目が直腸の悪性腫瘍で、両方とも抗がん剤を投与する化学療法を実施しています。
双方の違いは、選択する薬剤の違いです。
・2番目に多いのが、虫垂炎となっております。進行し、虫垂の周りに膿がたまっている状態となっている患者様です。
虫垂炎の手術は、主に患者様の体の負担が少ない腹腔鏡による手術を行っています。
・3番目の胃の悪性腫瘍の患者様も多く、抗がん剤を投与する化学療法を実施する患者様が多くなっています。
抗がん剤を投与する化学療法に関しましては、手術前に実施する場合と、手術後に実施する場合があります。
・5番目の胆のう結石の患者様も多く、この手術も患者様の体の負担の少ない腹腔鏡による摘出手術を主に行っています。
・平均在院日数は直腸の悪性腫瘍と虫垂炎は全国平均より短くなっていますが、胃の悪性腫瘍、胆のう結石に関しては、少し長くなっています。
・当院は患者様の体の負担の少ない腹腔鏡手術を積極的に行っております。
整形外科
・胸椎、腰椎の圧迫骨折による入院の患者様が一番多くなっています。
高齢の患者様が多く、腰痛で受診され、骨折と診断される場合が多くなっています。
・2番目は大腿骨の大腿近位骨折の患者様で、転倒などによる骨折が多く、人工骨頭挿入術や、γーネイルと呼ばれる髄内釘を使っての骨折観血的手術を行います。
・3番目も大腿骨の大腿近位骨折ですが、患者様や骨折の状態により手術を行わず、保存的に治療を行う場合です。
・4番目は膝関節周辺の骨折が多くなっています。部位としては膝に近い大腿骨や下腿骨の脛骨、そして膝蓋骨が膝関節周辺の骨折にあたります。
・5番目は骨盤損傷です。これも転倒などでしりもちをついたときなどに受傷するケースが多くなっています。
・平均在院日数は全国平均より長くなっておりますが、高齢の方が多く、リハビリテーション治療や、回復期リハビリテーション病棟への転棟などで、入院期間が長くなることもあります。
脳神経外科
・頭蓋内損傷の手術なしの患者様が一番多くなっています。頭蓋内損傷とは、外傷による脳内出血や硬膜下血腫などです。
・2番目に多いのが、脳梗塞の発症から3日以内の患者様です。脳梗塞は発症から早期に治療を開始すれば、より軽い後遺症で済むことが期待できます。
手術をするケースは少なく、投薬や注射の薬物療法とリハビリテーション等で治療を行う場合が多いです。
・3番目は、非外傷性頭蓋内血腫です。これは高血圧症など外傷以外の原因で頭蓋内に出血が起きる病態です。
・4番目は、てんかんです。てんかんの発作を起こし、入院される患者様も多いです。
・5番目は、一番多かった頭蓋内損傷の手術ありのケースです。このケースは頭蓋内に出血した血を抜くなどの手術を行っています。
・平均在院日数は、早期からのリハビリテーションを行っていますが、高齢の方が多く、全国平均より長くなっています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
・患者数で「-」となっているところは10未満の場合です。
・癌の大きさと進展度やリンパ節への転移、遠隔転移の有無などで StageⅠ(早期)からStageⅣ(末期)に分類します。
・当院では、初発の5大癌の内、大腸癌、胃癌、肺癌の順で患者様が多くなっています。
乳癌、肝癌の患者様は10未満となっています。
・大腸癌の患者様は、StageⅡの患者様が多くなっており、次いで多いのがStageIV(末期)の患者様です。
・胃癌はStageⅢの患者様の割合が高くなっています。
・肺癌はStageIV(末期)の患者様の割合が高くなっています。
・全体的にStageI(早期)の患者様の割合は少ないですが、内視鏡検査などにより、早期発見、早期治療を心がけています。
・他病院からの紹介患者様が多く、手術や化学療法など、患者様の状態に沿った治療を行っています。
・内視鏡的治療や、腹腔鏡的治療を積極的に行っており、消化器全域にわたって広く診療を行っています。
ファイルをダウンロード成人市中肺炎の重症度別患者数等
・患者数で「-」となっているところは10未満の場合です。
・市中肺炎とは、病院以外で発症した肺炎の事です。
・当院は中等症の患者様が多く、全体の63%となっています。
・重症度が上がるにつれ、平均在院日数が長くなり、平均年齢も高くなります。
・市中肺炎は年齢が上がるにつれ、重症化していることが分かります。
・軽症の患者様の平均在院日数が短いことからも、平均年齢が低く、早期に治療を開始すると、治るのも早いことが分かります。
ファイルをダウンロード脳梗塞のICD10別患者数等
・患者数で「―」となっているところは10未満の場合です。
・ICD10とは国際疾病統計分類に基づいた分類です。
・脳梗塞は、いろんな傷病名に分類され、表のように7種類に分類されます。
・当院では、G46$、I66$、I675、I679の患者様は入院されていません。
・一番多いのは、「脳梗塞」に分類される患者様です。
発症から3日以内の急性期の患者様が多く、全体の92%となっています。平均年齢も74歳と高齢となっています。
・平均在院日数は、リハビリテーションを積極的に行う回復期リハビリテーション病棟へ転棟することにより、長くなっています。
当院は早期からリハビリテーションを行っており、早期の社会復帰を目指しています。
・転院率が低いことは、治療やリハビリテーションなどにより、自宅等へ戻られた患者様が多いことを示しています。
ファイルをダウンロード診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
「Kコード」・・・診療報酬点数表の手術コードのこと。
「術前日数」・・・入院日から手術日までの日数(手術日は含まない)
「術後日数」・・・手術日から退院日(転院日)までの日数(手術日は含まない)
・大腸ポリープに対する手術が一番多くなっています。
この手術は外科においても実施されていますが、件数では内科での件数が多くなっています。
内視鏡での手術のため、術前日数と術後日数は少なくなっています。
・2番目は、胃潰瘍などで出血した場合に実施される消化管止血術で、術後日数がやや長くなっていますが、療養病棟に転棟される方などで長くなっています。
・3番目は、経口摂取が不良のため、胃瘻を造設する手術が多くなっています。
胃瘻とは胃から直接栄養を摂取するカテーテルを取り付けることです。
術前日数と術後日数が長くなっていますが、この手術が目的で入院した場合ではなく、他の傷病で入院し、入院途中に嚥下機能低下などにより、胃瘻の造設が必要になったことや、療養病棟に転棟される方などで術前術後の日数が長くなっています。
・4番目は、中心静脈注射用植込型カテーテルの設置が多くなっています。
中心静脈注射用植込型カテーテルとは、鎖骨下静脈からカテーテル挿入し、心臓近くの静脈に留置し、カテーテルから点滴等を行うことです。
この手術も胃瘻の造設と同じく、他の傷病で入院し、入院途中に栄養管理上、植込型カテーテルの設置が必要になったケースが多くなっています。
・5番目は、内視鏡的胆道ステント留置術が多くなっています。
この手術は、がんや結石などにより、胆道が詰まり、黄疽が出た場合などに、胆道へステントと呼ばれる器具を設置し、胆道を拡げる手術です。
外科
・患者数で「―」となっているところは10件未満の場合です。
・外科では腹腔鏡下鼠経ヘルニア手術が一番多くなっています。術前日数が短いのは、入院当日に手術する場合が多いからです。
・2番目は、内科で一番多かった大腸ポリープに対する手術となっています。
術前日数・術後日数とも、内科より短くなっています。
転院率としてあがっているのは、他の病院より紹介された患者様が、元の病院へ帰られたからです。
・3番目は、胆石による腹腔鏡下胆嚢摘出術となっています。
術後日数が長くなっているのは、療養病棟へ転棟する場合などで長くなっています。
・4番目は、腹腔鏡下虫垂切除術となっています。俗にいう盲腸の手術のことです。
この手術も鼠経ヘルニア、胆石の手術と同じように、腹腔鏡にて行います。
当院では患者様の体に負担の少ない腹腔鏡手術を積極的に行っています。
・5番目は、抗悪性腫瘍剤動静脈内持続注入用植込型カテーテル挿入術となっています。
この手術は抗癌剤治療を行う際の、注入ルートを植え込む手術となってます。
・転院率は非常に少なく、ほとんどの患者様が自宅等に帰られています。
整形外科
・患者数で「―」となっているところは10件未満の場合です。
・1番目の骨折観血的手術(大腿)は、主に大腿骨転子部骨折に対して行われます。 γ―ネイルと呼ばれる髄内釘による固定を行います。 術後の日数が長くなっていますが、これは当院のリハビリテーションを集中的に行う、 回復期リハビリテーション病棟へ転棟される患者様が多いので長期になっています。 転院率は3%とほとんど転院される方はおらず、、自宅等へ帰られています。
・2番目は、人工骨頭挿入術(股)となっています。この手術は大腿骨頸部骨折に対して行われます。 インプラントの骨頭を大腿骨に置き換える手術です。この手術も術後日数が長くなっていますが、 こちらも回復期リハビリテーション病棟へ転棟される患者様が多いので長期になっています。
・3番目は、関節鏡下滑膜切除術(膝)となっています。この手術は、化膿性関節炎や関節リウマチの患者様に行う手術です。
・4番目は、骨折観血的手術(鎖骨)となっています。鎖骨の骨折の骨接合手術です。
・5番目に骨内異物(挿入物を含む)除去術(鎖骨)となっています。鎖骨の骨接合手術後のプレートなどの除去手術です。
・平均年齢は、1番と2番が80歳代、3番が50歳代、4番が60歳代、5番が70歳代となっております。
脳神経外科
・患者数で「―」となっているところは10件未満の場合です。
・1番目は、慢性硬膜下血腫の患者様で、転倒などで頭部打撲し、頭蓋内に出血した場合に行う手術です。 頭蓋骨に小さな穴を開けて、血を抜きます。
・2番目の胃瘻造設術は、内科で3番となっている手術です。内科と比較して、術前日数は同じくらいですが、術後日数は短くなっています。 術前日数が長いのは、他の傷病で入院中に嚥下機能低下などにより、胃瘻の造設が必要になるためです。
・3番目は、頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内)です。頭蓋骨を開けて、出血部を除去します。
・4番目は、頚部脊柱管狭窄症、頸椎椎間板ヘルニアなどの頸椎の病気に対して行う手術です。
・5番目は、脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所)です。脳の動脈に瘤が出来、出血、もしくは出血しやすくなった所を、 クリップにて血流を止め、出血を止めたり、出血しないようにする手術です。
・転院率は胃瘻造設術が多くなっています。 これは、脳梗塞等で入院され、療養病棟に転棟後、他の病院へ転院するケースがあったためです。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
・患者数で「―」となっているところは10件未満の場合です。
・この指標にある播種性血管内凝固症候群と敗血症は、点数が高く設定されています。両疾患とも全身性の重篤な病気です。
入院の契機となった病名が、これらの病名と同一か異なるかを表しています。そして、その症例数と発生率を示しています。
・入院契機病名と異なる場合が多いのは、他の疾患で入院し、全身状態が悪化し、播種性血管内凝固症候群や敗血症になった場合です。
・播種性血管内凝固症候群の入院契機病名と異なる場合は、肺炎などの呼吸器疾患や、脱水症などの内分泌系疾患が多く、次いで腎盂腎炎などの尿路系疾患などとなっています。
・敗血症の入院契機病名と同一の場合は、近隣の病院やかかりつけの診療所などからの紹介の患者様が重篤となり、入院される場合です。
入院契機の病名と異なる場合は、腎盂腎炎などの尿路系疾患が一番多く、次いで肺炎などの呼吸器系疾患となっており、この2つで大部分を占めます。
・その他の真菌感染症はカンジダ等の真菌感染症です。
手術・処置等の合併症はカテーテルの感染症等です。これは症例数が少なくなっていますが、ほとんど入院契機と同じ病名で入院されています。
合併症は術後の感染等ですが、発生率は入院契機病名と同一の場合で0.25%、異なる場合で0.07%と低くなっています。
更新履歴
- 2017年9月29日 新規作成