平成30年度 山本第三病院 指標
- 目次 -
- 1. 年齢階級別退院患者数
- 2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
- 4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
- 5. 脳梗塞の患者数等
- 6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
- 7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数
・10歳代から入院されていますが、70歳以上の方が多く、これらの方で全体の約7割を占めています。
一番多い年代は、70歳代で全体の31.2%となり、次いで多いのが80歳代で、全体の31.1%となっています。
これらの数値からも、地域の高齢化社会を反映しているものと考えられます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
・『体液減少症』が1番多い疾患となっています。『体液減少症』とは脱水症のことです。近年の高温化の影響で多くなっていると考えられます。
高齢の方は季節に関係なく脱水症になることがあるので、十分な水分摂取が必要です。
・『誤嚥性肺炎』が2番目に多い疾患となっています。高齢の患者様で嚥下の悪い方が誤嚥して発症するのが『誤嚥性肺炎』です。
当院では、誤嚥性肺炎の再発予防の為、嚥下機能訓練を積極的に行っています。
・3番目に多い疾患が『腎臓または尿路の感染症』となっています。腎臓などに細菌が感染する急性腎盂腎炎の方が多く、高齢の方に多い病気です。
・4番目に多い疾患は『小腸大腸の良性疾患』となっています。大腸の良性のポリープ等を内視鏡的に切除を行っています。
5番目に多い疾患は、『食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患)』となっています。食道炎、逆流性食道炎、胃十二指腸潰瘍などがこれに当たります。
平均在院日数は、全国平均より長くなっていますが、当院は高齢の方が多く、疾患の再発が多くなり、入院期間が長くなる傾向にあります。
外科
・1番多い疾患は、『膵臓、脾臓の腫瘍』となっています。膵臓癌で抗がん剤を投与する化学療法を行っています。
・2番目に多い疾患は、『直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍』となっています。こちらも、抗がん剤を投与する化学療法を行っています。
・3番目は、『鼠径ヘルニア(15歳以上)』となっております。鼠径(そけい)ヘルニアとは脱腸とも呼ばれている疾患です。その手術を行っています。
・4番目は、内科での4番目と同じく、『小腸大腸の良性疾患』となっています。大腸のポリープを内視鏡的に切除を行っています。
・5番目は、『胆嚢疾患(胆嚢結石など)』です。胆石などで胆嚢(たんのう)摘出術を行っています。
・外科では平均在院日数は、全国平均より短めですが、『小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)』と『胆嚢疾患(胆嚢結石など)』は長くなっています。
これは、平均年齢が高いことが影響していると考えられます。
・当院では患者様の体の負担の少ない腹腔鏡手術を積極的に行っています。
整形外科
・『胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)』が1番多くなっております。高齢の患者様が腰痛で受診され、骨折と診断される場合が多くなっています。
・2番目は、『股関節・大腿近位の骨折』の患者様で、転倒などにより受傷する場合が多いです。人工骨頭挿入術や、γ-ネイルと呼ばれる髄内釘を使って骨折観血的手術を行います。
・3番目は、『その他の筋骨格系・結合組織の疾患』です。関節炎や、関節リウマチなどがこれにあたり、抗生剤の注射などが治療の主となります。
・4番目は、2番と同じく『股関節・大腿近位の骨折』ですが、患者様の骨折の状態や、その他の体の状態により、手術を行わず、保存的に治療を行う場合です。
・5番目は、『肩関節周辺の骨折・脱臼』です。上腕骨の肩関節に近い位置や、鎖骨の骨折等かこれにあたります。髄内釘やプレートによる固定手術を行っています。
・平均在院日数は、、全国平均よりも長くなっています。高齢の方が多く、リハビリテーション治療や、回復期リハビリテーション病棟への転棟などで、入院期間が長くなることもあります。
脳神経外科
・1番目と4番目が『脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)』となっています。1番目はリハビリテーションを実施した場合で4番目は脳を保護する薬剤を使用した場合です。
脳梗塞は発症早期から治療を開始すれば、より軽い後遺症で済むことが期待できます。手術するケースは少なく、投薬や注射の薬物療法とリハビリテーション等で治療を行う場合が多いです。
・2番目と3番目は『頭蓋・頭蓋内損傷』となっています。頭部の打撲などで頭蓋内に出血した場合です。2番目が手術を行っている場合で、3番目は手術を行っていない場合です。
手術としては、頭蓋内に出血した血を抜くなどの手術を行っています。出血の量などによっては手術を行わない症例も多くなっています。
・5番目は、『てんかん』です。てんかんの発作を起こし、入院される患者様が多くなっています。
・平均在院日数は、早期からのリハビリテーションを行っていますが、高齢の方が多く、全国平均より長くなっています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・癌の大きさと深達度や、リンパ節への転移・遠隔転移の有無などで、StageⅠ(早期)からStageⅣ(末期)に分類します。
・当院では、初発の5大癌の内、大腸癌・胃癌・肺癌・肝癌の順で、患者様が多くなっています。乳癌の患者様は、10未満となっています。
・大腸癌の患者様はStageⅡの患者様が多くなっており、次いで多いのがStageⅣ(末期)の患者様です。
・胃癌は、StageⅢの患者様の割合が高くなっています。
・肺癌は、StageⅣ(末期)の患者様の割合が高くなっています。
・全体的にStageⅠ(早期)の患者様の割合は低いですが、内視鏡検査などにより、早期発見、早期治療を心がけております。
・他病院からの紹介患者様も多く、手術や化学療法なと゛、患者様の状態に沿った治療を行っています。
・内視鏡的治療や、腹腔鏡下手術も積極的に行っており、消化器全域にわたって、広く診療を行っています。
ファイルをダウンロード成人市中肺炎の重症度別患者数等
・患者数で『-』となっているところは、10未満の場合です。
・『市中肺炎』とは、病院以外で発症した肺炎のことです。
・当院は中等症の患者様が多く、全体の67%となっています。
・重症度が上がるにつれ、平均年齢も高くなっていることが分かります。
・表示はされていませんが、軽傷の患者様の平均在院日数が短くなっており、年齢が若く、早期に治療を開始すると、治るのも早いことが分かります。
ファイルをダウンロード脳梗塞の患者数等
・当院での脳梗塞の患者様は発症から3日以内の急性期の方が多く、全体の89%となっています。平均年齢も約76歳と高齢となっています。
・平均在院日数は、リハビリテーションを積極的に行う回復期リハビリテーション病棟への転棟することにより、長くなっています。
当院は早期からリハビリテーションを行っており、早期の社会復帰を目指しています。
・転院率が低いことは、治療やリハビリテーションなどにより、自宅へ戻られた患者様が多いことを示しています。
ファイルをダウンロード診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
内科
「Kコード」・・・ 診療報酬点数表の手術コードのこと
「術前日数」・・・入院日から手術日までの日数(手術日を含まない)
「術後日数」・・・手術日から退院日(転院日)までの日数(手術日は含まない)
・大腸ポリープに対する手術が一番多くなっています。この手術は外科においても実施されていますが、件数では内科での件数が多くなっています。
内視鏡での手術のため、術前日数と術後日数は少なくなっています。
・2番目は、経口摂取が不良のため、胃瘻を造設する手術が多くなっています。
胃瘻とは、胃から直接栄養を摂取するカテーテルを取り付けることです。
術前日数と術後日数が長くなっていますが、この手術が目的で入院した場合ではなく、他の疾病で入院し、入院途中で嚥下機能低下などにより、胃瘻の造設が必要になったことや、療養病棟に転棟される方などで術前術後の日数が長くなっています。
・3番目は、結石や腫瘍により、胆道の通過障害が起こった場合に、ステントと呼ばれる筒を胆道に留置する手術です。
・4番目の、中心静脈注射用植込型カテーテルとは、鎖骨下静脈からカテーテルを挿入し、心臓近くの静脈に留置し、カテーテルから点滴等を行うことです。
この手術も胃瘻の造設と同じく、他の疾病で入院し、入院途中に栄養管理上、植込型カテーテルの設置が必要になったケースが多くなっています。
術後日数が長くなっていますが、療養病棟に転棟される方などで長くなっています。
・5番目は、胃潰瘍などの出血のときに、内視鏡により止血を行う手術です。・転院率が低いことは、治療やリハビリテーションなどにより、自宅へ戻られた患者様が多いことを示しています。
外科
・患者数で『-』となっているところは、10件未満の場合です。
・外科でも、内科と同じく、大腸ポリープに対する手術が一番多くなっています。
・2番目は、胆石による『腹腔鏡下胆嚢摘出術』となっています。術後日数が若干長くなっているのは、手術を受けられる方の平均年齢が高いことが考えられます。
・3番目は、『腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術』となっています。術前日数が短いのは、入院当日に手術を行う場合が多いからです。
・4番目に多いのは、『腹腔鏡下虫垂摘出術(虫垂周囲膿瘍を伴うもの)』です。虫垂炎に関しては、平均年齢は低くなっております。
・5番目は、内科の4番目と同じく、『中心静脈注射用植込型カテーテルの設置』となっております。内科より転院率が高いのは、他の病院よりの依頼の手術も行っているからです。
整形外科
・1番目の『骨折観血的手術(大腿)』は、主に大腿骨転子部骨折に対して行われます。ガンマ-ネイルと呼ばれる髄内釘による固定を行います。
術後の日数が長くなっていますが、これは当院のリハビリテーションほ集中的に行う、回復期リハビリテーション病棟へ転棟される患者様が多いので長期になっています。
転院率は、8.2%と低く、ほとんどの患者様は、自宅等へ帰られています。
・2番目は、『人工骨頭挿入術(股)』となっています。この手術は、大腿骨頸部骨折に対して行われます。インプラントの骨頭を大腿骨に置き換える手術です。
この手術も術後処置が長くなっていますが、こちらも回復期リハビリテーション病棟へ転棟される患者様が多いので、長期になっています。
・3番目は『骨折観血的手術(足)』となっています。転倒などで足を打撲すると、よく骨折する部位です。踵や、足の趾に対して行われます。
・4番目は『関節内骨折観血的手術(膝)』となっています。下腿の骨や大腿の骨の骨折が、膝関節内に及んでいる場合に行われます。
・5番目は『一時的創外固定骨折治療術』です。手関節骨折や足関節の骨折の場合、プレートなどですぐに固定を行うと、関節の可動域障害が起こったりするケースがある為、一時的に創外固定を行います。骨折患部の状態の落ち着きを待ってから再度固定手術を行います。
脳神経外科
・患者数で『-』となっているところは、10件未満の場合です。
・1番目は『慢性硬膜下血腫洗浄・除去術(穿頭)』となっています。慢性硬膜下血腫の患者様に対し、頭蓋内に小さな穴を開けて、血を抜きます。
・2番目は『椎弓形成術』となっています。この手術は、頚部脊柱管狭窄症や、頚椎椎間板ヘルニアなどの頸椎の病気に対して行われる手術で,椎弓を形成する手術です。
・3番目の『胃瘻造設術』は、内科でも2番目となっている手術です。脳の病気の影響により、胃瘻の造設が必要になる場合です。
・4番目は『水頭症手術(シャント手術)』となっています。水頭症とは、脳脊髄液の流れが悪くなり、新しく作られた脳脊髄液が溜まってしまう病気です。
脳室にカテーテルを入れて、新たな経路を作る手術です。
・5番目は『椎間板摘出術(後方摘出術)』となっています。件数としては、10件未満ですが、頚椎椎間板ヘルニアの場合に椎間板を摘出する手術です。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
・症例数が『-』となっているところは10件未満です。
・この指標にある『播種性血管内凝固症候群』と『敗血症』は、点数が高く設定されています。両疾患とも全身性の重篤な病気です。入院の契機となった病名が、これらの病気と同一か異なるかを表しています。そして、その症例数と発生率を示しています。
・入院契機病名と異なる場合が多いのは、他の疾患で入院し、全身状態が悪化し、『播種性血管内凝固症候群』や『敗血症』になった場合です。
・『播種性血管内凝固症候群』の入院契機病名と異なる場合は、肺炎などの呼吸器疾患や、脱水症などの内分泌疾患が多く、次いで腎盃腎炎などの尿路系疾患となっております。
・『敗血症』の入院契機病名と同一の場合は、近隣の病院やかかりつけの診療所などからの紹介の患者様が重篤となり、入院される場合です。入院契機と異なる場合は、腎盃腎炎などの路系疾患が一番多く、次いで肺炎などの呼吸器系疾患となっており、この2つで大部分を占めます。
・『その他の真菌感染症』はカンジタ等の真菌感染症です。
・『手術・処置等の合併症』はカテーテル感染症等です。これは症例数が少なくなっていますが、すべてのケースで、入院契機と同じ病名で入院されています。
併症は術後等の感染症等ですが、発生率は、入院契機病名と同一の場合で0.22%、異なる場合は0%と低くなっています。
更新履歴
- 2019年9月26日 新規作成